第18回中映協映像コンテスト


【喜びの声】 番組部門:大賞
 
発見!地元ヒストリア 僕らの街の明治維新
制作社:潟Aイプロ
担当者:チーフディレクター 和田仁
この度は、中映協映像コンテスト・番組部門で栄誉ある賞をいただきありがとうございます。

この番組は、1冊の本との出会いから始まりました。地元愛知の作家で第37回の新田次郎文学賞を受賞した奥山景布子さんの「葵の残葉」です。幕末に尾張徳川家の分家、高須藩からでた徳川慶勝、松平容保など、4人の兄弟と、尾張藩最大の悲劇といわれた青松葉事件を描いた歴史小説です。

この兄弟は、明治維新に大きな関わりがあったはずなのに、あまり、地元では知られていません。それは、なぜなのか?青松葉事件とは何なのか?明治維新に尾張藩は、何の関わりもなかったのか?そんな疑問から取材は始まりました。

しかし、取材を進める中で、子孫の方々に連絡しても、先祖のことについて話してくれる方は中々現れませんでした。尾張藩の藩論を勤王にまとめるため14人の藩士を斬首した「青松葉事件」が、いまだに尾を引いていたのです。 そんな中で、最後に斬首された「横井右近」の子孫で、横井家の現当主、横井一時さんが、初めて、テレビのインタビューに応じてくれました。戦国時代から続く名家でありながら、青松葉事件の後、系図からも消されていた先祖について語ってくれたのです。また、家に隠されていた驚きの資料も公開してくれました。

さらに、番組では、戊辰戦争を兄弟が敵味方に分かれて戦った尾張徳川家の子孫、徳川義崇さん、会津松平家の子孫、松平保久さんの対談も実現しました。 明治維新と名古屋とは何も関係なかった?実は、そんなことはなかったのです。高須藩がなかったら、徳川慶勝がいなければ、明治維新は、まったく違った形になったのかもしれません。 今回の番組を通じて、多くの謎が残ったものの、地元の歴史の中に隠された真実に、少しだけ触れられたような気がしました。

放送後、青松葉事件の犠牲者「横井右近」の子孫、横井一時さんのお母さんからいただいたメールをご紹介したいと思います。そこには、こう書いてありました。 「この番組で、本当に死んだ横井右近の供養になりました」この言葉をいただけた だけでも、番組を作った甲斐があったと思います。 最後になりましたが、先祖の負の歴史にも関わらず、取材に応じてくださったすべての方々に感謝したいと思います。ありがとうございました。




このウィンドウを閉じる