《文化映像部門》

『瀬戸市指定無形文化財 「陶芸 織部」 保持者 加藤錦三』

株式会社 名古屋東通
伊藤 道也

この度は第9回中映協映像コンテスト短編映像文化部門大賞にご選出いただきまして ありがとうございました。
この作品は、瀬戸市指定無形文化財保持者 加藤 錦三先生の織部技法を余すところ無く克明に記録し世に知らしめると共に、将来この映像を見て後世の人が技法の再現ができるくらいの「技法の記録保存」を目的として15分程度にまとめると言うものでした。

加藤先生は非常に個性的な方で、人間性にスポットを当てれば面白いドキュメンタリー番組が作れそうですが、冷徹に手元を追う事、釉薬の配合の比率を厳密に映像で見せる事、その他解り易く見易い映像とする事で正確な技法の記録を目指しました。

先生には事前に打ち合わせを行い、解り易く見易い映像を作るためにカメラの角度を変えて撮影する必要があるため、全く同じ作品をいくつか作って頂く事を了承して頂きました。
ところがロケ当日に、先生から「同じ作品じゃつまらないので2種類作る事にしたよ」と言われてしまいました。顔ではにこにこ、心の中は震度7クラスの大地震です。すぐにカメラさんと対応を協議し、撮り直しは一切できない一発勝負で2作品の同時収録に臨む事にしました。1作品のみをしっかり追いかける予定でしたが、クライアントである瀬戸市さまの了解も得られたので急遽変更しました。毎日が緊張の連続でした。カメラ位置の変更のために何度も先生に作業の中断をお願いしたり、スタッフの一丸となった素早い対応などの協力もあって、なんとか諸問題をクリアでき、解り易く見易い映像が記録できたのではないかと思っています。本当に思い出に残る作品になりました。

このような賞を受賞できた事は、これらの苦労が報われた思いがして無上の喜びであります。
これを励みになお一層の努力をして、映像表現の可能性に挑戦していきたいと思います。
本当にありがとうございました。




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