☆☆☆ 第15回中映協映像コンテスト ☆☆☆

 
株式会社パーム
制作部ディレクター 山内 將平

この度は、このような賞をいただき、誠にありがとうございます。

日本の歴史や伝統と密接に関わってきた富士山のすばらしさを伝えるべく、季節や天候、時間帯を変えて、1年半に渡り撮影してきました。

4Kの撮影機材と三脚、ドローンを背負って深夜・真っ暗なときから山に入り、山頂からの富士山撮影を行ったこともあります。期待と不安が混在した心持ちで登っているさなか、富士山の裾から月が登る瞬間に出合い、気がつけば、その神秘的な世界に励まされ寒さも疲れも吹き飛んでいました。

静寂の中にカチャ、カチャというコマ撮りのシャッター音だけが響くタイムラプス撮影の途中、雑木林の中を鹿が横切ることもあり、自然と共生していることを実感します。
鹿だけでなく、タヌキや猿、カモシカにも遭遇しますが、雪が降った次の日に山に登った際、熊と思われる大きな足跡が残っているところを通った時はとても緊張しました。

星空タイムラプスを撮影する際は、一晩を山の上で過ごすこともあります。山頂は星空が一層綺麗にみえて、時には流れ星を見ることがあります。天の川も肉眼で見えることもあります。山の上で長時間待機していると、着込んでも着込んでも寒さがジワジワとやってきます。ホッカイロや温かい飲み物で暖をとりながら夜を明かしていました。

今回は世界遺産の選定要素である「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」をサブタイトルにしましたが、富士山を撮るために周辺の山に登る際、山の麓には神社があることがほとんどで、参拝してから登山を開始します。富士山と信仰は昔から人々と密接に関わっていることを実感しました。私自身、長期間に渡って撮影する中で、想像を遥かに超えた自然現象に数多く出合い、富士山や大自然の荘厳さ、あるいは畏敬の念など、過去の日本人が感じていたであろう想いを追体験することができて、とても感慨深い撮影になりました。

これからも一層技術を磨き、心に残る良い作品を数多く制作していけるよう、努力精進したいと思います。



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