《短編産業部門》
150年の時空を超えて蘇る 「ジャパンブランドの先駆けS.SHOBEY](エス・ショウベイ)
(株)パーム 東京制作部
東田眞一

 横浜開港150周年ということで、横浜に続く「シルクロード」が日本にもあったというテーマで日本のシルクの復興のための映像を制作していました。

 その取材のなかで、大変興味深い発見をしまして制作したのが今回の作品です。

 開港当時は、日本の生糸が日本の貿易を支え、日本の経済はシルクが担っていたわけですが、調べていきますと、生糸だけではなく、1860年には、すでに横浜からシルクのドレスガウン、スカーフ、ネクタイなどが輸出されていたという事実に出会いました。驚いたことに150年前にすでに、日本のオリジナルブランド「S.SHOBEY」(エスショーベイ)が存在したのでした。エルメスよりはるか前にすでに、モダンジャポニズムというブームが欧米にあり、欧米のご婦人の憧れだったのです。

 というわけで、その当時のブランドの復活に取り組んだ「椎野正兵衛商店」の4代目の紹介と、150年前も欧米をうならせた、最高品質の日本のシルク製品のプロモーション映像を作りました。

 現存する生糸のなかでも、一番細い糸を吐く蚕の糸を編んだ製品は、天然繊維だけに、工業製品とは一線を画す、すばらしい肌触りで、見た目以上にしなやかで、しかもエネルギーがあります。その最高級のシルク製品の撮影には、限られた条件の中での撮影でしたので、なかなか思うように行かなくて、もっとたっぷりの時間をかけて再撮したいところです。

 今後、機会があれば、明治の気概のある日本人「椎野正兵衛」にスポットを当てた作品に挑戦したいと思います。ご協力いただいた皆様に、感謝いたします。



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