中映協だより2004.3.29 中部映像関連事業社協会
《『第2回中映協映像コンテスト』受賞各社の喜びのことば》
3月3日に開催されたコンテストの結果は、『審査速報』として既にお知らせ
しましたが、受賞各社から“喜びのことば”が届きましたのでお伝えします。
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“中映協グランプリ”並びに『番組大賞』受賞
作品名:『ズームイン!SUPERズームアイ!
「地上9メートルへの挑戦」〜朝倉の梯子獅子〜』
樺京テレビ映像企画 織田忠士
神秘、神業、そして拒絶...。我々の撮影はこれらをどう表現し、克服するのか? 40日
間の戦いでした。
愛知県知多市の朝倉地区に江戸時代から伝わる「朝倉の梯子獅子」。この祭りとの出会いは、
去年の夏、番組会議でスタッフの一人がポツリと「僕の地元で丸太の上で獅子が舞う面白
い祭りがあるんですけど...」。どんな祭りなのか?
地元の人たちの協力は?企画成立前にとりあえず、スタッフを現地に送り込みました。そこ
で見たものは、高さ9メートルの不安定なやぐらの上で、二人一組で華麗に獅子舞を演じて
いる少年たち。それはまさに神業。「この獅子舞の迫力を映像でどう表現するのか?」、しか
し、やぐらの上にはカメラマンを乗せることは出来ない...。スタッフ間でいろいろと案を出
し合いました。表現したいのは、主人公が恐怖に挑む“高さ”と獅子舞から感じられる“神
秘”さでした。
“高さ”は祭りの邪魔にならないよう10メートルの小型リフトカメラをやぐらの横に置き、
接写で獅子舞を撮影。結果、迫力ある映像を実現することが出来ました。“神秘”は出来るだ
けカットを割らずに光と影で表現しようと、夜中
撮影用クレーンを使いました。撮った映像は予想以上にすばらしい獅子舞を表現することが
できました。もちろんそれは、地元の人たちの暖かい協力があってこそ撮影できたのです。
そして番組の軸となる少年のドキュメント。初めは撮影を拒否していた彼も、
スタッフが毎日地元の人たちや彼の元へ足を運び、時には撮影することなく世間話を交わす
なかで、何時しか少しずつカメラに自然な姿を見せてくれるようになりました。積み重ねた
関係の中で、日々成長していく彼の姿を描くことが
出来たのです。
小さな町のどちらかと言えばあまり知られていない祭り「朝倉の梯子獅子」。
今回の素晴らしい受賞は、地元の人たちの撮影に対する暖かい協力とスタッフの撮影に対す
る執念と地道な努力があったからこそ生まれた結果だと思います。
★ 『VP大賞』受賞
作品名:『時の遺産 二大人物伝』
〜電力王 福澤桃介・電力の鬼 松永安佐エ門〜
鰍bBCクリエイション 制作1部 柴山直輝
私どもの制作した作品は、日本の電力業界に多大な功績を残した、「福澤桃介」と「松永安
佐エ門」を紹介するものです。VPといっても、伝記的な要素をもつ作品であるため、私自
身が二人のこと、それに電力界の歴史的背景を学びながら、興味を持って制作にあたること
ができました。ロケ地は、東京、埼玉、長野、福岡、壱岐。特に印象的であったのは、安佐
エ門の故郷である壱岐島でした。博多港からフェリーで2時間、荒波に揺られ辿りついた先
には、玄界灘をはじめ、まさに絶景が広がっていました。壱岐の迫力ある自然が、電力界の
鬼といわれた松永安佐エ門を表現する上で、重要な要素であったことは間違い
ありませんでした。このように苦労して撮影した映像に対し、高い評価をいただいたことを
感謝するとともに、これを励みにして、今後も映像制作に取り組んでいきたいと思います。
★
『CM大賞』受賞
作品名:『西濃運輸 カンガルー超特急便 マルチョー 〜「控え室」編〜』
電通テック名古屋支社 CMコンテンツ制作部
2年連続のCM大賞という大きな賞を受賞することができ、スタッフ一同非常に光栄に思
い感激に浸っています。ありがとうございました。
商品はカンガルー超特急便、通称「マルチョー」という、東京〜名古屋間を即日配達して
くれるという宅配サービスです。ビジネスシーンでよくあり得そうな内容の電
話のやり取りを、ありえないビジュアルに置き換えて表現致しました。
この企画の制作にあたっては、出演者のキャラクターが非常に重要な位置を占め、クオリ
ティを大きく左右するということで、オーディションがかなり難航致しました。
制作期間も短い中で、沢山の裸を限り無く見ていった記憶が印象に残っています。ギャップ
感をにじませ、ナンセンスで、でもフツーのサラリーマンのような言い回しをする、レスラ
ー体型の人間。この感覚を、視聴者に伝える力のあるキャラクターを見つけ出すことが出来
たことが、この結果につながったと考えています。狙い通り、即日配達の有難みを覆面レス
ラーの情けない姿が語ってくれました。皆様も、即日配達の「マルチョー」、使ってみてはい
かがでしょうか・・・。
『デジタルコンテンツ大賞』受賞
作品名:『平湯大滝の結氷から崩落まで』
中京ビデオセンター 映像取材部 藤田賢二
前から拘ってきた「知らないうちに“出来たり無くなったり”、そこに居続けないと見る事
が出来ない物って何?」という「テーマ」からできた企画です。
平湯大滝(夜間は-20度)から24時間の収録と同時に動画配信の映像を送り続けるという
事は、私達にとって初の挑戦でした。準備の段階で「既製品のハウジングではカメラが凍っ
てしまわないか」数日間考えました。偶然ホームセンターで建築用の断熱材(厚さ50ミリ、
畳一畳分の発砲スチロール)をみつけて、特製ハウジングの制作が始まりました。既製品の
カメラハウジングをスッポリと包む自作の巨大ハウジングは4日程で完成、平湯行きの2日
前でした。
収録と動画配信のために、平湯大滝から約800m離れた場所に信号分配基地を作りました。
機材設置作業はカメラ設置班とケーブル班の2班に分かれて作業に入り、カメラ台のイント
レ組みから始まって、2台のカメラを設置。ケーブル班は、これから予想される大雪に、ケ
ーブルが流されないように地表まで側溝を掘り、深い所で腰までも雪に埋もれながら、約800
m掘りつづけました。そんな作業も15人のスタッフのおかげで、夕方には終わりました。
そして、収録と動画配信は順調に走り始めましたが、3日目の朝突然、現地スタッフ(平
湯食堂のおばちゃん)から連絡が入りました。「収録基地に映像がきていません」との事。
早速、平湯入りして調べてみると、ケーブルの一部が何かで引きちぎられたような状態に。
周りを掘ってみても、数メートルの間ケーブルが見当たらない。現場の状況をよく聞いて
みると、犯人は隣のスキー場の圧雪車でした。そして数日後、「ホームページに映像は送ら
れて来ているが、全体が真っ白で滝が映っていない」よ〜く見るとどうもカメラが上を向
いているようだ。今度は、高山支局のカメラマンにお願いして様子を見に行ってもらう事
になりました。約1時間後連絡が入り、「雪の重みでカメラは上を向いて、雪が積もってい
ますよ」との事。とにかく雪を払ってアングルを調整してもらう事に。「この位ですか?」
「いやもう少し上」「いやもう少し下」こんなやり取りを、ライブ映像を見ながら携帯電話
で行いました。
この企画は、動画配信を始めてから毎日のようにライブ映像(滝の様子)を見に来てくれ
るリピーターが増えた事と、地元平湯温泉とリンクを張った事で、観光面にもすこし貢献し
て喜ばれました。インターネットと上手く付き合える企画になったかな?と思います。
特に我々技術者にとって、動画配信がカメラシステムの監視代わりになると言う事は、一
番嬉しい発見でした。今回の受賞は、協力を得た数十人のスタッフもこれからの励みにな
ると喜んでおります。